家畜の腸内環境を整える
飼料原料で生産性の向上に貢献
Point
- 下痢や食欲不振による家畜の成長不良が畜産現場での深刻な課題に
- 科学に裏打ちされた天然素材で腸内環境を整え、家畜の健康と成長を維持
- 家畜の病気や死亡率を低減することにより生産性を向上
関連するSDGs
Key Person
機能材料事業本部 事業推進部 担当者
幼少期から動物が好きで、大学では動物の栄養学を専攻。ペット向けの薬品や食品を販売する卸会社へ新卒で入社し、動物病院向けの営業を担当した。その会社を退職後、学生時代からの念願だったワーキングホリデーでカナダへ。語学のほか、多くの野生動物と触れ合いながら大自然のなかで1年間を過ごした。帰国後の2019年に島貿易へ入社し、それまで培ってきた素養を活かして「畜産分野における飼料原料の研究・販売」という新たな挑戦をけん引している。
現場がメリットを実感できる素材を求めて―。
「ヒト向け」だった素材を「畜産分野」に応用する
これまで日本では、家畜の病気対策のため、多くの抗菌剤や抗生物質を使用してきました。しかし2018年、この抗菌剤が人体にも影響を及ぼす可能性があるとして、一部が使用禁止に。今後「抗菌剤に代わる飼料原料」が必要になると感じた私は、自らその素材を探すプロジェクトを立ち上げました。
調査を進めるなかで出会ったのが、海外メーカーが扱っていたアカシアガムです。これはガムのコーティングなどに使われる素材で、原料となるアカシア属の木の樹液は、原産地アフリカでは野生動物が舐めに来るものだとか。なんと、それにより腸内環境が正常に保たれるらしいのです。動物の健康を保ち、人体に影響もない―活用できれば誰の目にもメリットは明らか。早速、製造メーカーと交渉を開始し、家畜向けの研究を始めました。
思い描く「未来の畜産風景」を
実現するために。
実を言えば、家畜向けというのは当社にとっても初めてのフィールド。複数の大学と連携し、試験データを蓄積しながら何度も議論を重ねました。生産者である畜産農家の方に直接説明に伺い、試験に協力していただいたこともあります。さらに行政への申請・登録や各種法規制もクリアして、ようやく「飼料用ファイバーガムフィード」の商品化と販売にこぎつけました。
まだまだ販売規模は小さいものですが、「ファイバーガムフィードを与えるのが当たり前」という時代が来ることを信じ、粘り強く販促活動を続けています。
Key Point
畜産業界に新たな飼料原料を普及させるという挑戦には、業界特有の壁やハードルがあります。そうしたなかで、少しでも商品の「良さ」を理解いただこうと、さまざまな方法を模索しています。学会や展示会への出展や、Webセミナーの開催など、固定観念にとらわれず、何でも「まずやってみる」ことを大切にしています。当然、失敗もあり、お客様のもとへ商品を持参しながら、雑談で打ち合わせを終えてしまったということも。それでも、「人間も家畜も幸せになれる、新しい“食”を創造したい」という想いが揺らぐことはありません。今後も、ひるむことなく挑戦を続けていくつもりです。